ナースマガジン vol.37
『ケアに活かせる栄養療法の豆知識』第26回 健康維持に欠かせないビタミン④ ナイアシン(ビタミンB3)
投稿日:2022.04.18
西山順博先生に訊きました『ケアに活かせる栄養療法の豆知識』第26回
健康維持に欠かせないビタミン④ ナイアシン(ビタミンB3)
今回取り上げるナイアシンはビタミンB3とも呼ばれ、糖質、脂質、たんぱく質の代謝に関与しています。
普段の食事で摂取する食品にも多く含まれますので、含有量や特性をよく理解し取り入れましょう。
普段の食事で摂取する食品にも多く含まれますので、含有量や特性をよく理解し取り入れましょう。
ナイアシンとは
ナイアシンは水溶性ビタミンです。ニコチン酸とニコチンアミドの総称ですが、体内で必須アミノ酸であるトリプトファンから合成することができ、ナイアシン当量は下記の式で求められます。
ナイアシン当量(㎎NE)=ニコチン酸(㎎)+ニコチンアミド(㎎)+1/60 トリプトファン(㎎)
(食事摂取基準はニコチン酸量として設定し、ナイアシン当量(niacin equivalent:NE)という単位で設定)
■ナイアシンのはたらき
ナイアシンは、生鮮食品中では主にピリジンヌクレオチドとして存在し、消化管内でニコチンアミドに加水分解されてニコチンアミドとなります。一方、食品を調理・加工するとその過程でピリジンヌクレオチドは分解され、動物性食品ではニコチンアミド、植物性食品ではニコチン酸として存在します。ニコチンアミド・ニコチン酸は小腸から吸収されます。我が国で食されている平均的な食事中のナイアシンの遊離型ナイアシンに対する相対生体利用率は、60%程度であるとされています。
ニコチンアミドやニコチン酸は、体内でピリジンヌクレオチドに生合成された後、脱水素酵素の補酵素として、糖質、脂質、たんぱく質の代謝エネルギー産生に関与しています。また、補酵素として、脂肪酸やステロイドホルモンの生合成、ATP産生、DNAの修復や合成、細胞分化など、幅広い反応に関与しています。
ニコチンアミドやニコチン酸は、体内でピリジンヌクレオチドに生合成された後、脱水素酵素の補酵素として、糖質、脂質、たんぱく質の代謝エネルギー産生に関与しています。また、補酵素として、脂肪酸やステロイドホルモンの生合成、ATP産生、DNAの修復や合成、細胞分化など、幅広い反応に関与しています。
■ナイアシンの欠乏と摂取基準値
ナイアシンが不足すると、食欲がなくなり、消化不良、皮膚トラブルが起こります。さらに欠乏すると、うろこ状に現れる皮膚炎、口舌炎、下痢、神経障害などを起こす“ペラグラ”という欠乏症になります。
ただし、ナイアシンはトリプトファンの含有量が低いトウモロコシを主食にしている人が欠乏しやすいと言われているため、通常の食生活をしていれば日本で不足を心配する必要はほとんどありません。また、サプリメントなどで大量摂取をしない限りは、過剰になることもまずありません。
ただし、ナイアシンはトリプトファンの含有量が低いトウモロコシを主食にしている人が欠乏しやすいと言われているため、通常の食生活をしていれば日本で不足を心配する必要はほとんどありません。また、サプリメントなどで大量摂取をしない限りは、過剰になることもまずありません。
1) ナイアシン当量(NE)=ナイアシン+1/60トリプトファンで示した。 2) 身体活動レベルⅡの推定エネルギー必要量を用いて算定した。 3) ニコチンアミドの重量、()内はニコチン酸の重量
ナイアシンを摂取しよう
ナイアシンは、魚介類、肉類、キノコ類、穀物に多く含まれます。ナイアシンは水溶性のビタミンで、中性、酸性、アルカリ性、酵素、光、熱に対して安定していますので、調理による損失は少ないと考えられます。
ただし、ニコチン酸やニコチンアミドは水に溶けやすいことより煮汁にも移行しますので、煮物料理をされる際は頭に入れておきましょう。
ただし、ニコチン酸やニコチンアミドは水に溶けやすいことより煮汁にも移行しますので、煮物料理をされる際は頭に入れておきましょう。
<参考文献>
●栄養andカロリー計算
http://www.eiyoukeisan.com/calorie/nut_list/index_nut.html
●岡田晋吾/編「キーワードでわかる臨床栄養 令和版~栄養で治す! 基礎から実践まで」(羊土社)
●栄養andカロリー計算
http://www.eiyoukeisan.com/calorie/nut_list/index_nut.html
●岡田晋吾/編「キーワードでわかる臨床栄養 令和版~栄養で治す! 基礎から実践まで」(羊土社)
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