病院取材企画!第1回
病院取材企画!第1回 褥瘡有病者を激減! 『OHスケール』を活用した 予防プログラム導入事例
投稿日:2013.03.06
褥瘡有病率を下げるためにきわめて重要なのが、「予防」です。
そして、この予防に欠かせない要素は、リスクアセスメントと体圧分散寝具選び。
今回は、褥瘡リスクアセスメントツールである『OHスケール』を用いて、適切なマットレス選びをすることで、褥瘡有病者数を激減させることに成功した事例について、日本褥瘡学会の評議員である堀田良浩先生(希望クリニック院長)にお話を伺いました。
そして、この予防に欠かせない要素は、リスクアセスメントと体圧分散寝具選び。
今回は、褥瘡リスクアセスメントツールである『OHスケール』を用いて、適切なマットレス選びをすることで、褥瘡有病者数を激減させることに成功した事例について、日本褥瘡学会の評議員である堀田良浩先生(希望クリニック院長)にお話を伺いました。
■従来の褥瘡への取り組みとその効果
1998年6月、当時堀田氏が在籍していた厚生連加茂病院(現豊田厚生病院)では、形成外科を開設。褥瘡患者の数とその対応について悩みを抱えていた。
ちょうどその頃、全国的にクリニカルパスが広まり、褥瘡の治療にも積極的に取り入れようとする流れがあった。そこで、当院では堀田氏が発起人となり、看護師(3人が交代で担当)とともに、週に一度の褥瘡回診と在宅患者への訪問回診をする取り組みがはじまった。
その後クリニカルパスが日本に紹介され始め褥瘡治療のパスを作成することになった。
また、形成外科開設にあたって、院内すべての褥瘡患者と在宅医療で関わりのある患者に対して訪問診療を開始した。
クリニカルパスではチーム医療が求められ、褥瘡クリニカルパス委員会のメンバーが褥瘡回診に合流し、管理者クラスの看護師3名が交代で、管理栄養士や理学療法士が、1週間おきに一緒に回診する体制となった。
週に1回、欠かすことなく全11病棟を4時間(9時〜13時)かけて回診、栄養管理も含めた総合的な治療を行うことで、褥瘡患者の症状は目に見えて改善し、堀田氏は確かな手ごたえを感じていたという。
ところが、回診開始から3年が経過した2001年6月、有病者数の推移を調査すると、その数は減少どころか徐々に増加していたという事実が判明。この調査をきっかけに、従来の治療から「予防」へシフトしていくこととなる。
ちょうどその頃、全国的にクリニカルパスが広まり、褥瘡の治療にも積極的に取り入れようとする流れがあった。そこで、当院では堀田氏が発起人となり、看護師(3人が交代で担当)とともに、週に一度の褥瘡回診と在宅患者への訪問回診をする取り組みがはじまった。
その後クリニカルパスが日本に紹介され始め褥瘡治療のパスを作成することになった。
また、形成外科開設にあたって、院内すべての褥瘡患者と在宅医療で関わりのある患者に対して訪問診療を開始した。
クリニカルパスではチーム医療が求められ、褥瘡クリニカルパス委員会のメンバーが褥瘡回診に合流し、管理者クラスの看護師3名が交代で、管理栄養士や理学療法士が、1週間おきに一緒に回診する体制となった。
週に1回、欠かすことなく全11病棟を4時間(9時〜13時)かけて回診、栄養管理も含めた総合的な治療を行うことで、褥瘡患者の症状は目に見えて改善し、堀田氏は確かな手ごたえを感じていたという。
ところが、回診開始から3年が経過した2001年6月、有病者数の推移を調査すると、その数は減少どころか徐々に増加していたという事実が判明。この調査をきっかけに、従来の治療から「予防」へシフトしていくこととなる。
■褥瘡予防プログラムとOHスケール
「褥瘡予防プログラム」とは、入院時に褥瘡リスクを判定、適切なマットレスを選定することで、褥瘡が起きにくい環境をつくることである。
ところが、それまでに使用していた『ブレーデンスケール』は判定に2時間程要するという。救急外来はもちろん、通常の入院時でさえ、 この時間をとることは人材面から言っても難しく、現実的ではなかった。
2001年8月に大浦武彦氏が名古屋へ来られる機会があり、その折に、ご指導を受けた。これを、当院で適応すべく調整していたところ、大浦スケールより少し改変する方が良いことがわかり、OHスケール( 大浦・堀田スケール)として、試験的運用が始まった。
それは、対象者の4つの状態「自力体位変換の可否」、「病的骨突出の有無」、「浮腫の有無」、「関節拘縮の有無」の程度を確認すれば、「対象者が持つ褥瘡発生リスクの程度」、「褥瘡の発生確率」、「褥瘡が発生した時の平均治癒期間」、「使用すべき体圧分散マッ トレスのグレード」の予測がつけれられるというもの。
ところが、それまでに使用していた『ブレーデンスケール』は判定に2時間程要するという。救急外来はもちろん、通常の入院時でさえ、 この時間をとることは人材面から言っても難しく、現実的ではなかった。
2001年8月に大浦武彦氏が名古屋へ来られる機会があり、その折に、ご指導を受けた。これを、当院で適応すべく調整していたところ、大浦スケールより少し改変する方が良いことがわかり、OHスケール( 大浦・堀田スケール)として、試験的運用が始まった。
それは、対象者の4つの状態「自力体位変換の可否」、「病的骨突出の有無」、「浮腫の有無」、「関節拘縮の有無」の程度を確認すれば、「対象者が持つ褥瘡発生リスクの程度」、「褥瘡の発生確率」、「褥瘡が発生した時の平均治癒期間」、「使用すべき体圧分散マッ トレスのグレード」の予測がつけれられるというもの。
■褥瘡予防プログラム導入とその成果
前段の『OHスケール』完成を受け、 全1 1回(2001年9〜12月)の講演 を実施。院内の全スタッフへ周知徹底を 行ったのち、同年1 2月、ついに「褥瘡予 防プログラム」を導入した。
堀田氏は、 導入後すぐにコンピューター制御のマッ トを2 2台購入し、院内の急性期600床 の褥瘡患者を順次、「高度」「中度」「軽度」 「リスクなし」の4段階に判定していっ た。
すると、300名ほど判定した段階で用意したマットを全て使用。残り 300名の判定が終わった時点で院 内の高度リスク患者数は 40 名となっ た。つまり1 8枚のマットレス不足が生じたのである。
その結果、次々と 褥瘡が発生。一方で、コンピューター のマットを使用した患者にはその症状がみられなかった。これにより、 マットの重要性が明らかとなったの だ。
それからしばらくの間、マット を探す電話で院内の電話回線がパン ク状態が続いた。「このままではい けない。有病者も減らず、業務効率 が下がり続ける一方だ」という危惧 を抱いた堀田氏は、ついにマットの レンタルを決意したという。
これが大きなターニングポイント である。レンタル開始直後から、状況 は一転、これまで行き渡っていなかった高度リスクの患者への供給が 100%可能となり、状況はみるみる改善した。
レンタルを開始して5週間後には、院内の有病者数は1/5 (3 4人⇒7人)にまで激減していたのだ。
堀田氏は、 導入後すぐにコンピューター制御のマッ トを2 2台購入し、院内の急性期600床 の褥瘡患者を順次、「高度」「中度」「軽度」 「リスクなし」の4段階に判定していっ た。
すると、300名ほど判定した段階で用意したマットを全て使用。残り 300名の判定が終わった時点で院 内の高度リスク患者数は 40 名となっ た。つまり1 8枚のマットレス不足が生じたのである。
その結果、次々と 褥瘡が発生。一方で、コンピューター のマットを使用した患者にはその症状がみられなかった。これにより、 マットの重要性が明らかとなったの だ。
それからしばらくの間、マット を探す電話で院内の電話回線がパン ク状態が続いた。「このままではい けない。有病者も減らず、業務効率 が下がり続ける一方だ」という危惧 を抱いた堀田氏は、ついにマットの レンタルを決意したという。
これが大きなターニングポイント である。レンタル開始直後から、状況 は一転、これまで行き渡っていなかった高度リスクの患者への供給が 100%可能となり、状況はみるみる改善した。
レンタルを開始して5週間後には、院内の有病者数は1/5 (3 4人⇒7人)にまで激減していたのだ。
看護師が行う褥瘡ケアは発生予 防が重要であり、またそれには OHスケールのOHスコアに合わ せたマットレスの選択及び充足が 有効である、ということがわかる事例である。
この事例情報をきっ かけにOHスケールを活用し、褥 瘡発生予防に役立ててもらえれば 幸いである。
※この記事は、NURSE MAGAZINE Vol.1 へ掲載しています。
この事例情報をきっ かけにOHスケールを活用し、褥 瘡発生予防に役立ててもらえれば 幸いである。
※この記事は、NURSE MAGAZINE Vol.1 へ掲載しています。
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