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永瀬隆之先生のモチベーション・マネジメント

モチベーション・マネジメント② スタッフ面接(2)

さて、前回(モチベーション・マネジメント① スタッフ面接(1))は、人事面談にありがちな問題点を整理することで、面接に取り組む姿勢を振り返ってもらいました。そして、師長、主任のみなさんでも、ご自身のスタッフ時代を思い返せば、「相談」や「話し合い」の場面というより、上下関係を強く感じる「上司からの自分に向けられたメッセージ」の場だった、と気づいたのではないでしょうか。

また、面接前にしっかり準備することで、相手(部下)にどれだけ興味や関心をもって話を進められるか、相手の本音や考えを聞き出すためのシミュレーションとして「想定問答集の作成」を、おすすめしたところです。

今回は、そうしたことを踏まえ、実際に面接の場面では、どんなことに注意したら相手のモチベーションを刺激するか考えてみましょう。

1.“観察”と“傾聴”に意識を集中する

面接の中で、上司のみなさんがスタッフと充実した時間を過ごすためには、相手の言動や表情・姿勢を注意深く観察し、ちょっとした変化を見落とさないようにすることです。

そして「スタッフはなぜそのような言動や表情・姿勢になったのか、その裏にはどんな思いや事情が隠されているのか」を想像することも大切です。

想像することによって、みなさん自身が想定した答えが、実は間違っていたり、思わぬ方向へ話が転じたりします。これによって、みなさんは、より一層知りたいと思い、スタッフに関心を持って傾聴する姿勢が自ずとできるわけです。

みなさんのこうした観察と傾聴の真剣な姿勢は、スタッフ自身にも確実に伝わり、少なからずモチベーションを刺激します。

なぜなら、人は共感されたり、自分の思いや考えを他人により多く話すことで、満たされた気持ちになり、自己肯定感につながりやすくなるからです。

そうしたやり取りの具体例と心構えをいくつか挙げてみましょう。

スタッフの話を聴く
 ⇒あなた自身の考えや指示等を口にすることは最低限にとどめ、スタッフの話をできるだけ引き出す。


スタッフの気持ちを引き出す
 ⇒感情を表現したことば、「緊張した」「嬉しい」「嫌だった」等に着目し、具体的に聴く。
  例:「そうですか、緊張していたんだ。どうして緊張したのでしょう?」


具体的に聴く
 ⇒例:スタッフ「仕事を押し付けられているように感じる」
     あなた「特にどういう時にそう思う?」、「押し付けられている、というと?」
  というように、内容を具体的に聴く

2.スタッフの心身の健康状態も観察する

観察にはとても大切なもう1つの目的があります。

それはスタッフの心身の健康状態を把握することです。どんなに能力があり仕事ができるスタッフでも、心身の状態が正常でなくなってしまえばその能力を発揮できません。

【顔の表情が暗い、または声のトーンが沈んでいるとき】
・家族に何かあったのではないか
・本人が個人的な悩みを抱えているのではないか
・何か本人に落ち込むようなことがあったのではないか
・仕事や人間関係について悩んでいるのではないか
・体調がすぐれないのではないか

このように元気がない、悩んでいそうな時は、「そうだったんだ」「よく頑張ったね」と状況を聞きながら、承認することが大切です。すぐに解決策を提示せず、受容と共感のコミュニケーションを心掛けてください。

悩んでいるスタッフは解決策より共感してくれる人を求めているものです。

また、優秀なスタッフが孤軍奮闘している場面では、受容と共感のコミュニケーションに加え、チームで支える意向を示すことも重要です。

組織にも「困ったときはお互い様」の相互扶助の精神が育まれるからです。そして、個々のモチベーションが組織の活力につながっていきます。

永瀬 隆之 先生
株式会社 フェアアンドイノベーション 代表取締役
公益社団法人 日本医業経営コンサルタント協会 
認定登録 医業経営コンサルタント
全国の医療機関で、 管理職層のリーダーシップ改革など、組織風土やモチベーションの課題解決などをコンサルティング。なかでも、100~500床前後の総合病院における看護師の離職防止で実績多数。多くの地域看護協会の認定看護管理者 研修講師も派遣している。

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