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ナースマガジン vol.37

聴きある記:第13回日本創傷外科学会総会・学術集会

投稿日:2021.11.29

13回目を迎える今回は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染状況を考慮し、現地参加とオンデマンド配信のハイブリッド方式で開催された。創傷分野の治療法には従来の外用局所陰圧剤に加え、さまざまな肉芽形成促進剤、創傷被覆材、陰圧閉鎖吸引療法、陰圧閉鎖療法(NPWT)、予防的手術、器械によるデブリードマンなどが登場し、飛躍的な進歩がみられている。2日間にわたるプログラムの中から以下にシンポジウム1「ケロイド・瘢痕治療を究める」の要旨を紹介する。

会 期:2021年7月15日・16日

会 場:北九州国際会議場

会 長:安田 浩 先生
     (産業医科大学形成外科診療教授) 

テーマ:「創傷外科 内に究め、外に拡める」

シンポジウム1 ケロイド ・ 瘢痕治療を究める

座長:
小川令先生(日本医科大学付属病院形成外科・再建外科・美容外科)
村松英之先生(医療法人社団CRSきずときずあとのクリニック 豊洲院)

1: 瘢痕拘縮の次元分類 治療アルゴリズム作成の試み

小野真平 先生(日本医科大学形成外科)
 多くの関節がある上肢などでは関節上の長軸方向の瘢痕が瘢痕拘縮をきたしやすい。「瘢痕拘縮の次元分類」に基づき、適切な治療法を選択することが求められる。

2.前胸部ケロイドに対する局所皮弁再建術ーLotus flower flapー

渡邊英孝 先生(佐賀大学医学部附属病院形成外科)
 前胸部のケロイドに対して、蓮の花のような形をした両側内胸動脈穿通枝皮弁を用いた外科治療を行っている。これは機能・美容の両面においてメリットが大きい。

3.『きずときずあとのクリニック』における費治療を含めた瘢痕治療内容とその収益性について

村松英之 先生(医療法人社団CRSきずときずあとのクリニック豊洲院)
 保険診療だけでなく自費診療を含めたトータルな治療で対応しているが、自由診療を増やすことで集患と経営の安定化という課題を乗り越え、収益構造改革を推進した。

4.ケロイド ・ 瘢痕治療を究める北大形成外科が挑んできたケロイド治療と再発評価法

前田拓 先生(北海道大学大学院医学研究院形成外科学教室)
 ケロイド全切除後、早期ステロイド併用療法(カプランマイヤー法)を用いた後療法を行っても再発のリスクがあるため、長期的な視点で経過観察を行う必要がある。

5.ケロイドに対する手術後の治療 成績の前向き研究

山脇聖子 先生(大阪赤十字病院 形成外科)
 ケロイドは再発しやすいが、手術後、できるだけ早期に放射線治療を行うと多くの患者は根治に至る。術後2年間は経過観察を行うことが肝要である。

6.ケロイド治療を究める〜長期治療を可能にするための配慮とケロイド予防および根治を目指した取り組み~

土佐眞美子 先生(日本医科大学付属病院形成外科再建外科・美容外科)
 ステロイド注射による治療は痛みが強いため、ケロイドはできないように予防することと、できるだけ早く治療を始めることが大切である。

[取材・執筆]戸田恭子

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