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ナースマガジン vol.34

【看護ケアQ&A】オストメイトへの 外出支援 ~自信をもって出かけられるように~

投稿日:2021.01.29

さまざまな理由でストーマを造設した患者は、今までと違う身体的な変化に精神的な変化もきっとあると思います。看護師として不安な気持ちを受け止め、気持ちに寄り添いながらオストメイトが今までと変わらず外出できるよう指導・支援していくことが大切です。どのように支援していけばよいか丹波先生に支援のポイントをお伺いしました。(編集部)

職場復帰や外出など不安に対して

手術が終わり、ストーマを造設した患者さんが退院していきます。できたら入院前と同じように生活をしたいと希望されていますが、職場復帰や外出など不安だと話されています。これらの心理的な不安に対して、どのようなことに気をつけたらよいですか?
退院時、最初は不安がとても強い方が多いです。しかし、外出してみないと何に対して不安なのか分からないことも沢山あるので、まずは近場からでも外出してみることを勧めてみましょう。漏れない装具などを一緒に考え、何事もなく家に戻ってくることで「大丈夫だった」という自信を持ってもらうことが大事です。
 声かけとしては「もしもの時に必要な物品は一通り持ち歩きましょう。しっかりこの袋がキャッチしてくれるので漏れないはずです。慣れてきたら少しずつ外出時間を延ばしていってください」と伝えてはどうでしょうか。

 ストーマ造設という事実に対しても、すぐ受容できる方と時間がかかる方がいて、外出するまでに1年近くかかる方もいます。その人のペースに合わせ、無理強いしないような声掛けを行っていきますが、少しでも外出できた場合「外出できましたね!」と、どんなに近場でも認めてあげることが自信につながると思います。

 職場復帰の際も、必要に応じて体の状況を知っていてもらうと安心ですので、説明したほうがよいと患者さん自身が判断するのであれば説明をすうるよう勧めています。通勤手段・通勤時間を確認し、もしものために患者と一緒に対処法を考えておくと良いでしょう。

 通勤ラッシュ時に体調が悪くなった場合も途中下車し、駅に設置してある多目的トイレなどを利用することもあるかと思います。職場にオストメイトであることを説明しておくと配慮してくれるところもあるかもしれません。

 体調が悪くなった原因としては、ストーマそのもののトラブルがあったとしても「ストーマ造設が体調に影響を与えることはないですよ」と伝えています。ストーマの存在に慣れてしまえば、生活そのものが変わるわけではないのですから…。

タイプ別の指導

オストメイトでも前向きで積極的な方、消極的な方、認知力が低下している方など、様々なタイプの方がいらっしゃいます。それぞれのタイプの方にどのように関わり、どのような指導を行っていけば良いですか?
ストーマを自分で触りたくない・見たくない・怖いという方には、術後、看護師が装具交換を介助し、「交換がちゃんと出来ていますよ。装具交換は短時間でスムーズに行えていますね」と声掛けをしながら交換します。
 初めは見ようとしない患者も多いですが、交換を素早く行うことで「意外に早く交換できるものだ」と思ってもらえるように努めます。患者の受容を待ちたいところですが、退院までの期間が限られているので、患者が見ていなくても、手順を説明しながら「皮膚がきれいですね。こうやって洗浄するんですよ」と、一緒に行っていることをイメージできるように伝え、最後は「一緒にやりましょう」と声をかけて行うと良いでしょう。

 認知力が低下している方の場合は、家族や訪問看護師にも交換に参加してもらいながら指導していくことが多いです。基本的に家族が交換するということを前提に、患者と家族のやりとりを見守りながら、習得レベルに合わせて介入していきましょう。

外出時 、不安を軽減するポイント

以前ストーマが漏れてしまった経験から、また漏れてしまうのではないかと不安で外出することが怖いと患者さんより相談がありました。不安を軽減できるためのポイントを教えてください。
一回漏れてしまうと不安で仕方ないという方がいますが、漏れずに過ごせたという成功体験が大切です。
 まずは漏れの原因を見極めましょう。装具が合っていない場合と動きが激しくてずれてしまう場合が考えられます。

 退院後は入院時と活動量が全く違うため、痩せたり太ったり体型が変わることで腹壁も変わりやすい状態になります。装具も腹壁の変化に応じて、密着するものに変更していきます。
 
 通常、装具は週2回くらいで交換してもらいますが、装具の溶解の状況で装具交換の頻度を変更します。退院直後は2週間程度で外来の受診を促し、今の装具で漏れないかを判断します。腹壁に変化や問題がなければ、その後は3~6か月ペースで来院していただきます。

 トラブルが発生したり自分で交換できない場合は、早めに外来受診していただき、適切な装具に交換したり取り扱い方法を指導したりすることで、漏れの問題はほぼ解消できると思います。
 
 動きが激しくて漏れてしまう場合は、ストーマベルトを装着すると肌とストーマ装具が密着し、安定して漏れにくくなります。

尿路ストーマの排出

尿路ストーマ(ウロストミー)の患者から、術後何時間毎に排出したらよいかと質問されました。排出の目安や注意点を教えてください。
尿路ストーマは回腸導管、尿管皮膚瘻、腎瘻、膀胱瘻などの手術の種類があり、種類によってストーマの位置や大きさが異なります。
 場所や手術の種類により尿管の直径が細くなってしまうことで閉塞を防ぐ目的と、術後の浮腫による尿の通過障害の予防及び吻合部を安静に保つためにカテーテルを留置することがあります。

 尿路ストーマのパウチは逆流防止弁がついています。パウチに溜まった尿が逆流し尿路感染しないようにするためです(写真1)。
 尿路ストーマからの尿の排泄は個人差がありますが、1日に1000~2000mL程の排出があります。パウチ内を空にするタイミングとしては、2~4時間置きにパウチの3分の1~2分の1に達した時に排出していくと良いでしょう。長時間尿の破棄ができない場合は、足につけられるレッグバッグの使用なども検討します。飲水量や発汗の量によっても変動しますので、術後は飲水のタイミングや量を自分なりに試してもらい、排出の時間や量を把握しておきます。

 交換中、排便と違って常に尿が垂れてくるのでガーゼを使用しながらストーマに当て、吸い取りながら装具交換を行うと良いです。外出時は事前に行く場所のトイレを調べて確認しておくのも安心につながります。

 尿の重さを支えた、面板の粘着を安定させるためストーマ用ベルトを使用することもできます(図1~3)。
引用文献
1)ナーシング・プロフェッション・シリーズ ストーマケアの実践
 編著:松原康美 発行所:医歯薬出版株式会社 2007年
2)アルメディアWEB
 これで解決! 医療者のためのストーマケア・ナーシング 日常生活指導のポイント
https://www.almediaweb.jp/stomacare/medical/contents/point/

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