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ニュートリション・ジャーナル NUTRITION JOURNAL第15回

ニュートリション・ジャーナル NUTRITION JOURNAL ” 理解なき支援が「溝」を生む” Vol.04_その1

投稿日:2019.02.20

「食べられない」を支える在宅食支援

訪問看護師が在宅療養者の「食べられない」に遭遇する率は、96%という調査結果がある※。
「食べられない」状況は、低栄養による健康管理上の問題が生じると共に、本人の満足度が満たされないというQOL上の問題も生じる。
「食べられない」のは「食べたくない」のか「飲み込めない」のか、原因が異なればその対応も異なる。原因を見極め、多職種が各々の専門性を持ち寄り、在宅患者一人ひとりへの最適な関わりによって「食べたい気持ち」に応える、地域のアプローチとは―。
本誌Vol.2に登場いただいた渡辺克哉先生の講演内容を紹介しつつ、食支援のポイントを探る。
※調査主体:ニュートリー株式会社、協力:メディバンクス株式会社により、2018年3月26日から4月27日、全国の訪問看謹ステーションを対象に行われた、「訪問看護現場における『食べられない』に関する実態調査」。
8212事業所中、549件の回答を得た(回答率6.67%)。

高齢になるほど 食事が大切

かつて、「高齢者は栄養の摂りすぎに注意」といわれていた時代があったが、今日では
「高齢者は低栄養に注意」と呼びかけられるようになった。

そこには、低栄養が全身状態を著しく悪化させることがわかってきたという一面と、介護予防、健康寿命の延伸を掲げて医療・介護の社会保障費を抑制したい一面がある。 同時に、医療現場を中心に「治療からケアへ」という意識変革が進み、食べる喜びや食べさせてあげられる喜びが患者・患者家族のQOL向上に繋がることに対し、光が当たるようになってきた、といえるのかもしれない。
訪問看護ステーションの調査で、低栄養に関する指導を「あまり行っていない」と18%が回答している(図2)。
何が低栄養状態で、どうすることが低栄養対策になるのか、訪問看護師の間で完全な理解につながっていないのだろうか。
在宅療養中の高齢者を診る際、患者本人を始め、患者家族や介護従事者などの周囲が「高齢者は動けない分、食べられなくても仕方がない」という誤った認識を持っていないか、注意を払ってもらいたい。
たとえ寝たきりで動けなかったとしても、体の臓器を動かす、つまり生きるためにエネルギーは常に消費されている。

また以前のようには動けない中で、「楽しみにしている食事」が十分に食べられない状況は、生活満足度の低下、QOLの低下を招く。食べられないために食事の場に参加しない、となれば社会とつながる側面が断たれてしまう可能性も大きい。「食べたい気持ちはあるのに、食べられない」との訴えにこそ、訪問看護師に意識を向けてもらいたい。

ニュートリション・ジャーナル
理解なき支援が「溝」を生むVol.04
その1『高齢になるほど食事が大切』

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