看護・医療しゃべり場
看護・医療 しゃべり場 インタビュー編「胃瘻はまさに『お腹のお口』」その1
投稿日:2016.07.01
平成17年10月に開設された社会福祉法人小羊学園「つばさ静岡」は、重度心身障害をもつ児童および成人を、短期を含む入所と通所の両面から支えている施設です。
今回私たちは同園をたずね、重症心身障害児・者にとっての胃痩の意義を、介護者(お母さん)・小児科医・看護師の皆さんに伺いました。(文中敬称略)
今回私たちは同園をたずね、重症心身障害児・者にとっての胃痩の意義を、介護者(お母さん)・小児科医・看護師の皆さんに伺いました。(文中敬称略)
まずはお母さん達から伺いましょう。
〈写真右から〉
下釜櫻子さん(お子さん:光さん29歳胃痩歴4年)
永井恵美子さん(お子さん:渉さん30歳胃痩歴10年弱)
海野康子さん(お子さん:達朗さん26歳胃痩歴9年)
牧野富美代さん(お子さん:梓さん29歳胃痩歴10年)
下釜櫻子さん(お子さん:光さん29歳胃痩歴4年)
永井恵美子さん(お子さん:渉さん30歳胃痩歴10年弱)
海野康子さん(お子さん:達朗さん26歳胃痩歴9年)
牧野富美代さん(お子さん:梓さん29歳胃痩歴10年)
今は胃痩にして良かったと思える
子どもの成長と嚥下能力が低下していく過程を見守り、日々の食事介助を行いながら、葛藤の末、胃痩を選択してきたお母さんたち。どの様な経緯があったのでしょうか。
葛藤を越えると胃痩の良さが見えてくる
下釜 光は難産で、生まれたときから重度障害に加え食物アレルギーもあり、何をどうやったら安全に食べられるのか、離乳食のときから工夫をしてきました。
一ロサイズのまとまりのあるものなら食べられていたのですが、次第にそれも難しくなってきました。4年前、連日の猛暑で水分不足に陥り、胃痩を提案されました。
生きるために必要な水分が摂れなくなったという現実は、受け止めざるをえません。
信頼できる医師から受け入れてくれる病院を紹介して頂いて、胃痩造設が可能になりました。
タイムリミットでした。
永井 1歳半から渉は、ずっと経鼻栄養を続けてきました。20歳の頃からチューブを入れるのが難しくなってきて、胃痩に切り替えました。
海野 達朗は食べることが大好きで、食べることができていたので大丈夫だと思っていたんです。
でも誤嚥していたのでしょうか、高校2年の頃から肺炎を起こしやすくなりました。
そこでまず、経鼻と経ロの併用を始めたのですが、経鼻チューブの交換を嫌がり、そのストレスで胃潰瘍ができてしまったんです。
その辛さを見ていられず、3カ月で胃痩にしました。
牧野 娘は、嚥下機能の低下と共に傾眠状態も現れ、必要な栄養量を確保できなくなり、経鼻栄養になりました。
だんだん鼻腔からチューブが入りにくくなり、信頼していた先生からの提案で、18歳で胃痩造設を行いました。
下釜 本当に迷いました。障害を持った子の大変さに加え、食事が摂れないという現実に、胃に穴を開ける手術が必要になることは、まったく私の手には負えないと思ったからです。
それでも踏み切れたのは、光を助けようとする医療スタッフの方々が寄り添ってくれたからです。
術後も、肉芽、逆流性食道炎の問題を乗り越える助けをもらいました。このプロセスを経て、今では本当に良かったと思うことができます。
海野 今思うと「うちの子、まだ食べられるから大丈夫」っていうのは「食べることを取ってしまったら、どんな楽しみがある?」って思ってたからなんですね。
でも、それは親の思い込みだったかもしれません。
本人は『もっと楽に食べたいよ』って言い続けてたんじゃないか、自分の満足感が子どもの体調を崩す原因になっていたのでは?という思いがあります。私は本人の日常生活の負担を軽くしたかったので、主治医と胃痩のメリット・デメリットについてよく話し合った上で、今は胃痩にして良かったと思っています。
一ロサイズのまとまりのあるものなら食べられていたのですが、次第にそれも難しくなってきました。4年前、連日の猛暑で水分不足に陥り、胃痩を提案されました。
生きるために必要な水分が摂れなくなったという現実は、受け止めざるをえません。
信頼できる医師から受け入れてくれる病院を紹介して頂いて、胃痩造設が可能になりました。
タイムリミットでした。
永井 1歳半から渉は、ずっと経鼻栄養を続けてきました。20歳の頃からチューブを入れるのが難しくなってきて、胃痩に切り替えました。
海野 達朗は食べることが大好きで、食べることができていたので大丈夫だと思っていたんです。
でも誤嚥していたのでしょうか、高校2年の頃から肺炎を起こしやすくなりました。
そこでまず、経鼻と経ロの併用を始めたのですが、経鼻チューブの交換を嫌がり、そのストレスで胃潰瘍ができてしまったんです。
その辛さを見ていられず、3カ月で胃痩にしました。
牧野 娘は、嚥下機能の低下と共に傾眠状態も現れ、必要な栄養量を確保できなくなり、経鼻栄養になりました。
だんだん鼻腔からチューブが入りにくくなり、信頼していた先生からの提案で、18歳で胃痩造設を行いました。
下釜 本当に迷いました。障害を持った子の大変さに加え、食事が摂れないという現実に、胃に穴を開ける手術が必要になることは、まったく私の手には負えないと思ったからです。
それでも踏み切れたのは、光を助けようとする医療スタッフの方々が寄り添ってくれたからです。
術後も、肉芽、逆流性食道炎の問題を乗り越える助けをもらいました。このプロセスを経て、今では本当に良かったと思うことができます。
海野 今思うと「うちの子、まだ食べられるから大丈夫」っていうのは「食べることを取ってしまったら、どんな楽しみがある?」って思ってたからなんですね。
でも、それは親の思い込みだったかもしれません。
本人は『もっと楽に食べたいよ』って言い続けてたんじゃないか、自分の満足感が子どもの体調を崩す原因になっていたのでは?という思いがあります。私は本人の日常生活の負担を軽くしたかったので、主治医と胃痩のメリット・デメリットについてよく話し合った上で、今は胃痩にして良かったと思っています。
生きる希望をもらって
胃痩と胃痩食の登場は、「美味しくて栄養のあるものを食べさせたい」というお母さんたちの願いを叶えてくれました。
「お腹のおロ」から身体に取り込まれた栄養は、お子さんたちに体力をつけ、表情や動作を豊かにしていきます。小さな胃痩チューブが、生きる希望そしてその成長を見守る希望をくれたのです。
「お腹のおロ」から身体に取り込まれた栄養は、お子さんたちに体力をつけ、表情や動作を豊かにしていきます。小さな胃痩チューブが、生きる希望そしてその成長を見守る希望をくれたのです。
永井 経鼻栄養が長かった分、自分たちと同じものをあげられるようになってとても嬉しいです。作るのも喜びですし。本人も食事が入ると抵抗力がつき、便性も良くなり、とても調子はいいです。
海野 もともとご飯好きだったので、またご飯を入れてあげられるのは嬉しいです。
下釜 今は腹臥位マットを使い、逆流の症状に対応できる販売食と、料理教室で習った自家製食を味わっています。親子共々美味しい食事が食べられることに、本当に幸せを感じています。
牧野 でも毎日のことなので、この生活を長く続けるために、液体栄養剤もうまく使っています。
永井 胃痩食にこだわり過ぎて負担になってしまうと、続かなくなってしまいますよね。
1日1回胃痩食にしようとか、今日は販売食を使おうとか、それぞれ無理のない取り入れ方を見つけていけばいいと思いますよ。
海野 もともとご飯好きだったので、またご飯を入れてあげられるのは嬉しいです。
下釜 今は腹臥位マットを使い、逆流の症状に対応できる販売食と、料理教室で習った自家製食を味わっています。親子共々美味しい食事が食べられることに、本当に幸せを感じています。
牧野 でも毎日のことなので、この生活を長く続けるために、液体栄養剤もうまく使っています。
永井 胃痩食にこだわり過ぎて負担になってしまうと、続かなくなってしまいますよね。
1日1回胃痩食にしようとか、今日は販売食を使おうとか、それぞれ無理のない取り入れ方を見つけていけばいいと思いますよ。
協力:ハリヤード・ヘルスケア・インク
\ シェア /
シリーズ
他の方が見ているコラム
白湯のタイミングについて
2015.08.07